2015年5月28日木曜日

萩往還A250km_完踏記_その5

 宗頭文化センターに、真夜中の1時頃着きました。

この写真は、平成25年にコースを視察したときの写真です。

 まず、体育館にてデポジットした荷物を受け取り、センターに向かいました。
 センター和室前の廊下に荷物とバックを置き、まず、トイレに向かいました。トイレでは、正明市のドラッグストアで購入した軟膏を取り出し、お尻の擦過傷の手当てをしました。
 その後和室に戻り、暖かい味噌汁とおにぎり、バナナをいただきました。おなかがすいていたのか、あっという間に完食してしまいました。
 おなかが満たされると、一気に疲れが出て、その場にぐったりとしてしまいました。スタッフさんから仮眠を取るなら体育館へどうぞという声で我に返り、廊下に出てGPSの電池を替えながら、体育館に行って仮眠を取るか、出発するか考えました。

 仮眠とは聞こえが良いですが、2時近くになっていましたから、下手に睡眠を取ると関門04:00を越えてしまうでしょうし、4時前に再出発できたとしても時間内完踏はかなり難しくなるでしょうから、仮眠=リタイアと同じです。

 すべての荷物を体育館に持って行き、デポジットし、『仮眠(=リタイア)させてください!!』とのどまで出ていた言葉を告げることができず、体育館に背を向けた私に、スタッフの皆さんが『頑張ってください!!』と暖かい声援を送ってくださるものだから、もう後には引けなくなり『ありがとうございます。行ってきます!!』と空元気を出していました。

 02:05、宗頭文化センター前の道路に立ち、3km先の藤井商店CP9に向かおうとした時です。
 一人の選手が、初参加なので同行させて欲しいというのである。実は、私も初参加で自信はないと告げると、今からセンターを出る選手がもう一人おり、その方は初参加ではなかったから、その方にお願いしようということになりました。斯くして、宗頭文化センターからは、3名で行動することになりました。

 藤井商店CP9は、道沿い左にありますので、左を注視しながら走行すれば見逃すことはないでしょう。
 早歩きで、先頭を行きました。小雨で不気味な真っ暗な道をせかせかと進んでいったように思います。後ろの二人は結構話をしているようでしたが、なんだか夢の中を旅しているような雰囲気で現実感がなく霧の中をさまよっているようでもありました。幾つかのカーブを曲がり、その都度期待と失意を繰り返しながらようやく藤井商店に到着しました。

 藤井商店
 走行距離 = 179.5km 
 残り距離 =  71.6km 
 予定通過時刻 = 23:00 
 実通過時刻  = 02:43
 CP09 

この写真は、平成25年にコースを視察したときの写真です。


 これから先、この藤井商店の横を通って、真っ暗な山の中を走行します。
 また、標高231mの鎖峠を越えて、9.1km先の三見駅を目指します。
 このコースは、一睡もせず180km以上走り通した真夜中の山の中ですので、多くのランナーが幻覚を見ると言われる場所です。

 チェックシートにチェックするのですが、シートが雨に濡れ下手するとぼろぼろになりそうな雰囲気でした。

 チェックを終えると、藤井商店の横を通って、鎖峠への裏道を進みます。真っ暗で急峻な坂道を我慢の登りです。トレランポールに全体重をかけて汗だくだくで登って行きました。

 暫く行くと、4~5名程度の小集団に合流し、追い抜き、03:22ついに、国道191号線に到達し、程なく前方にヘッドランプの明かりに照らされた鎖峠の看板を目にすることができました。

 と、今まで後ろに付いてきていた案内役の選手が転がり落ちるように坂を下り始めます。見失っては大変だと必死で後を追いますが、早い早い、あっという間にカーブの先に隠れてしまいます。それでも、必死に追いかけカーブにたどり着き何とか目視すると、次のカーブに走り去っていくというような状況を何度も繰り返します。
 随分と下り降りた所に私設エイドがあり、やっとそこで合流できました。ドリンクをいただいていると、もう一人の連れの選手も追いついてきました。

 私設エイドで、一息つくと再び走り出します。
 程なくすると明らかに勾配が緩くなり、田畑の広がりが見えてきます。
 さらに進むと、家々も見え始め、やがて路地に迷い込みます。

 線路を越えましたが、三見駅が見当たりません。
 うろうろと辺りを見渡していると、もう一人新たな選手が追いついてきて、『向こうかもしれません。見てきます。』と元気よく走っていきました。
 我々3人も後を追うように、走って行くと、先導の選手が手招きしています。
 後から、走行ログを見ると、右折すべき所を直進してしまい、往復500m位のロスが生じていました。

 三見駅
 走行距離 = 188.6km 
 残り距離 =  62.5km 
 予定通過時刻 = 00:40 
 実通過時刻  = 04:24 
 CP10 
 ドリンクとパンをいただきました。

この写真は、平成25年にコースを視察したときの写真です。

 三見駅から、6.9km先の玉江駅までは、5つの踏切を渡り、標高80m位の丘を越えて行くことになります。
 離合不能な車1台が通れるくらいの道をたどっていきます。  平成25年の車で視察したときは、道幅の狭さに戻るに戻れず進むしかなかった事を思い出していました。

 程なく、山道となり、トレランポールに助けられながら登っていきました。
 勾配が下り坂になる頃には、辺りが明るくなり始め、小鳥のさえずりが聞こえ始めました。

 木々の向こうに大学のキャンパスのような立派な建物が見え始めました。
 『いったいどこの大学なんでしょうね?』と問いかけますが、2人とも答えてくれません。
 さらに、下っていくとガウディがデザインしたのではないかと思われる奇抜なアパートが見えてきました。
 『こんな素敵なアパートが、こんな所にあるのですね?!』と話しかけると、2人が顔を見合わせ困惑した顔をして、『アパートなんか何処にもないよ』というのです。
 そう言われて、よくよく見るとそれは、単なる崖のようにも見えますが、やはりアパートにも見えるのです。

 その後、踏切を何度か渡るのですが、踏切と分かっているのですが、遮断機の機械部分が女の子とお母さんが手をつないでいるように見えるのです。
 いわゆる幻覚というやつなのでしょう。つまり、私が見た立派な大学のキャンパスもガウディがデザインしたような奇抜なアパートもすべて幻覚だったのです。
 そう確信すると、確かに遮断機は映像的には遮断機なのですが、認識的には女の子とお母さんが手をつないでいるように見えるのです。
 つまり、網膜に映し出され視覚される映像とその映像の認識との間にミスマッチが生じて、遮断機を見ているのに女の子とお母さんが手をつないでいるように認識してしまうのです。
 そう思うと、次の踏切が楽しみで楽しみで仕方がなく、不気味な微笑みを浮かべながら走っていたように思います。 

 いよいよ、萩の町です。辺りはすっかり明るくなって、新聞配達や早起きの地元の方々に出会い始めます。
 もちろん『おはようございます!!』と、あいさつを交わしながら颯爽と走って行きます。

 玉江駅前
 走行距離 = 195.5km 
 残り距離 =  55.6km 
 予定通過時刻 = 02:00
 実通過時刻  = 05:50
 エイドでは、お茶をいただきました。 
 ここからB140km部門の選手と合流し始めます。
 B140km部門の選手からA250km部門の選手に送られるエールと羨望の眼差しは、完踏への何よりのエネルギーになります。

 明るくなったし、ここからの道は、もう迷うことはありません。
 宗頭文化センターから一緒に走ってきた2人の選手にお礼を言って、それぞれ単独行動することになりました。
 小生は、幻覚が見え始めたこともあり、玉江駅で少し仮眠をしようと思ったのですが、気持ちが高揚しているというか高ぶっており、目をつぶる気になれなく、すぐに出発してしまいました。

 玉江駅から、浜崎緑地公園までは、ほぼフラットな道3kmです。
 明るい町の中を走ると、目標物があり、進み具合が景色とともに分かり、随分走行が楽に思えました。

 浜崎緑地公園
 走行距離 = 198.5km 
 残り距離 =  52.6km 
 予定通過時刻 = 02:40 
 実通過時刻  = 06:24
 CP11 
 あと1.5kmで200km超えとなります。
 人生初の記念すべき200km超えです。

この写真は、平成25年にコースを視察したときの写真です。

 ここから、虎ヶ崎・つばきの館までは、8.9kmです。
 A250km部門やB140km部門の往路、復路の選手が交差し合い、エールを交換しながら走行します。
 疲れてはいましたが、結構誇らしげに走れていました。もちろん100歩走って、50歩歩くの繰り返しですが・・・
 また、虎ヶ崎・つばきの館では、最後の食事、カレーが待っていると思うと、とても楽しみです。

 明神池を過ぎ、いよいよ笠山への急勾配の上りと下りです。
 上りは、トレランポールを頼りに、我慢の登りです。
 下りは、脚に注意を払いながら、一気に駆け下ります。
 ・・・と、終に来ました。すべての疲労が貯まり貯まって、左足首が悲鳴を上げ始めました。
 こうなると、下りを駆け下ることができなくなります。下りも左足首を庇いながら我慢の走行です。
 次々と選手に抜かされながら、足を引きずるようにして走行する事になりました。
 しかし、虎ヶ崎・つばきの館は、目と鼻の先です。おいしいカレーが待っています。

 虎ヶ崎・つばきの館
 走行距離 = 207.4km 
 残り距離 =  43.7km 
 予定通過時刻 = 04:20 
 実通過時刻  = 08:03 
 関門時間 = 13:00 
 CP12・記帳・GPSの電池交換。
 フル5本分を完踏しました。残りは、44km弱です。
 食事は、当然おいしいカレーをいただきました。 

 残り10時間で、44kmです。歩く速さで十分なのですが、この後、萩の山が待っていますし、左足首の痛みのため下りが走れなくなっています。完踏は、かなり厳しくなってきました。

 虎ヶ崎・つばきの館から、金照苑・東光寺前までは8.3kmです。
 まずは、笹山の残り半分を時計回りに進み明神池に戻ります。ちょっとしたトレイル状というかハイキングコースなのですが、左足首を庇いながらの走行に何人もの選手に抜かれてゆきます。
 明神池からは、ほぼフラットなロードです。痛み止めを飲んで、100歩走って、50歩あるくを努めて頑張ります。
 金照苑・東光寺前まで、残り1kmになろうとしたとき、再び雨が激しく降り始めました。久々にカッパを着込んでの走行です。

 金照苑・東光寺前
 走行距離 = 215.7km 
 残り距離 =  35.4km 
 予定通過時刻 = 07:30 
 実通過時刻  = 10:03
 CP13 

この写真は、平成24年にB140kmに出場したときの写真です。


 柑橘系の果物がおいしくて沢山いただきました。
 東光寺に、無事に完踏できますようにとお祈りして出発です。
 陶芸の村公園まで0.9kmの上りです。

 陶芸の村公園
 走行距離 = 216.6km 
 残り距離 =  34.5km 
 予定通過時刻 = 07:40 
 実通過時刻  = 10:15
 CP14  
 ここは、F35km部門のゴールおよび、C70km部門の折り返し地点となりますので、多くの選手と合流します。
 また、最後のチェックポイントです。チェックシートにすべてのチェックがなされたことを確認してウエストポーチにしっかり格納しました。

 雨が、すっかり上がり、今度は蒸し暑くなってきました。

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