2015年5月20日水曜日

萩往還A250km_完踏記_その2

 大勢の観客に見送られながら、非常にゆっくりとしたスピードで瑠璃光寺を後にしました。
 本大会、はじめのエイドは、参道を抜けた後、町中を通り、椹野川の河川敷を走り、上郷駅前エイドまでの13.2kmです。
 本大会も27回を刻み、勝手を知っている地域の方々が、要所要所で声援してくださいます。
 『走れていることを感謝する心が大切である。スタッフ、選手、地域の方々に笑顔で感謝の言葉を伝えながら走ろう。』とのウルトラセミナーでの話を思い出し、道ですれ違うすべての方々に、『こんにちは』とあいさつをし、『行ってきます~』と手を振り走行しました。

 30分も走ると、町中を抜け、椹野川の河川敷を走るコースとなりました。
 ここで、大変なことを思い出します。GPSのスイッチを入れ忘れているのです。
 すべての走行記録を取ろうと思っていたので、ちょっとがっかり。一旦停止し、GPSのスイッチを入れ、走り出すのですが、気分は少々ロー。

 多くのランナーに抜かれながら、河川敷を延々と走行します。
 250kmを越えるコース、はやる気持ちを抑えて脚が潰れてしまわないゆったりとした走行が完踏の秘訣と自分に言い聞かせ、一番ゆっくり走行しているランナーの後ろに着いて走りました。
 3年前のB140km部門では、このコースの中程の矢原河川公園で折り返して防府を目指しましたが、A250km部門では矢原河川公園を通り過ぎて上郷駅まで行くことになります。
 後から知ったことですが、この日の気温は28度にもなり、気温が高く汗だくだくの走行となりました。川からの風が火照った体を心地よく冷やしてくれましたが体力は確実に弱って行きました。

 上郷駅前エイド
 走行距離 =  13.2km 
 残り距離 = 237.9km 
 予定通過時刻 = 19:30
 実通過時刻  = 19:38 
 エイドでは、コーラ、バン、バナナをいただきました。 
 多くの選手に抜かれてゆきますが、マイペースを死守して行きます。
 辺りはすっかり暗くなり、ヘッドランプを着用しました。
 次の湯ノ口エイドは、8.6km先です。標高126mの二本木峠を越えていくことにになります。

 このころから珠々つなぎになっていた集団はすっかりばらけ、4~5人の小集団がまばらに走行するような雰囲気となってきました。
 小生といえば、後続の小集団に次々と追い越され、その追い越していった小集団を順次目印にしながらの夜間走行となりました。
 また、ウルトラセミナーで、積極的な歩きを始めから意図的に導入することが完踏の秘訣であるという話を思い出し、二本木峠の登りの辛さについ歩いてしまう消極的な自分を積極的に擁護していました。

 湯ノ口エイド
 走行距離 =  21.8km 
 残り距離 = 229.3km 
 予定通過時刻 = 20:40
 実通過時刻  =  20:48
 エイドでは、おにぎりとポカリをいただきました。 
 やっと、ハーフ1本分完踏です。
 残り230kmもあるのに、すでに疲れてきました。大丈夫か?!
 雨が降ってきそうなムッとした蒸し暑い大気に包まれ、体力が確実に消耗していくのがよくわかりました。

 次の下郷駐輪場エイドまでは、6kmです。
 川沿いの道や田んぼのすぐ脇の道をずっと走ったように思います。
 目印にした小集団に引っ張られながら、黙々と走っていたように思います。
 このころ、思っていたことは、『とにかく西寺交差点エイドまでは行こう。フル1本分も走らずに終わったら、おかしいでしょう。』です。
 そう思うくらい、疲労困憊していたように思います。

 下郷駐輪場エイド
 走行距離 =  27.8km 
 残り距離 = 223.3km 
 予定通過時刻 = 21:30
 実通過時刻  = 21:41
 エイドでは、バナナ、チョコ、ボカリをいただきました。 
 また、頭から水をかぶり、顔を洗ってクールダウンさせていただきました。

 カエルの合唱を聴きながら自転車道ひたすら走行しました。
 次は、4.2km先の美祢高校前エイドですが、先導していた小集団がスルーしたため、小生もスルーしました。
 ただし、美祢高校前エイドの500m程先にコンビニがあり、多くのランナーがそこで小休止していました。
 小生も、コンビニでガリガリ君を買って食べました。
 また、脹ら脛に痙攣を感じだしたので、芍薬甘草湯をここで飲みました。
 次の西寺交差点エイドまでは、美祢高校前エイドから12kmとなります。

 

 ゆるやかな上り勾配が痙攣を感じだした脚に重くのしかかり、歩きが多くなりだしました。
 このときの気持ちは、『とにかく西寺交差点エイドまで行き、なんとか豊田湖畔エイドまで行ってうどんを食ってから先のことを考えよう。』でした。
 前後に選手の気配を感じないことが多くなりだしました。
 コースは、ほぼ道なりなのですが、前後に選手がいないのが不安で、あらかじめコースを設定していた地図ロイドを何度も立ち上げて確認しました。亀の行進のようにちっとも前に進まなく時間ばかりが過ぎたように思います。 

 西寺交差点エイド
 走行距離 =  44.0km 
 残り距離 = 207.1km 
 予定通過時刻 = 23:40 
 実通過時刻  = 00:23
 歩きが多くなった分、予定通過時刻より43分遅くなりました。
 エイドでは、レモネードをいただきました。 
 やっと、フル1本分完踏です。残りフル5本分です。 コース全体の6分の1を消化しました。
 次の豊田湖畔公園エイドまでは14.7kmあります。しかも、標高256mの丘を越えていくことになります。
 関門は、03:30ですので、このコースを今から3時間余りで走行しなくてはなりません。今の体力を考えると結構テンパってきました。
 トレランポールを取り出し、上り坂に備えました。

 西寺交差点エイドを出て、踏切を渡ると、いきなり上り坂です。
 トレランポールを頼りに、無我夢中で登ります。
 本大会で初めて、他の選手を抜かしたのはこの区間でした。これも、トレランポールのおかげでしょう。
 また、芍薬甘草湯が効いてきたのか、この頃はまったく脹ら脛の痙攣を感じなくなっていました。このことも、他の選手を抜かすことができた要因でしょう。
 暫く、我慢の登りを続けると、今度は急峻な下りです。関門時刻と下り坂走行による脚の故障を天秤にかけながらも、今の体力では下りコースしか走れないので一気に駆け下りました。
 暫く下ると今度は小刻みのアップダウンが続きます。ここも登りはトレランポールを使って我慢の登り、下りは一気に駆け下りました。
 そうこうしていると、暗闇に湖の影が見え始めました。エイドまで一踏ん張りです。
 エイドへの分かれ道で交通案内をしてくださっているスタッフさんが天使に見えます。『こんばんは、ありがとうございます。』とお礼をいってエイドへ向かいます。

 豊田湖畔公園エイド
 走行距離 =  58.7km 
 残り距離 = 192.4km 
 予定通過時刻 = 01:40 
 実通過時刻  = 02:46
 関門時間 = 03:30 
 CP01・記帳
 予定時刻を1時間以上オーバーしましたが、関門時間には間に合うことができました。
 残りの距離が、200kmを切りました。凄い!?
 食事は、温かいうどんをいただきました。
 エイドでの時間を極力抑えるために、おにぎりは携行して出発しました。
 次の俵山温泉エイドまでは、8.4kmです。

 この公園のトイレで、Tシャツとタイツを脱ぎました。上半身は、ファイントラックのフラッドラッシュパワーメッシュのTシャツ、言わば下着姿となりました。しかし、ムッとする大気をこれでずいぶん緩和することができました。というより、早いうちにこうしておけば、もう少し楽であったに違いないと思いました。
 萩の山は寒く、いつぞやの大会では雪が降ったとの話に、寒さ対策はある程度してきていたのですが、こんなに暑くなるとは夢にも思いませんでした。
 真っ暗なコースをほぼ一人で走行しました。地図ロイドでコースを確認しながら進みました。
 途中、バス停で仮眠している選手を2名発見しました。
 また、時折、小雨がぱらついていました。
 この頃思っていたことは、『とにかく、旧油谷中学校まで行って、バスに収容してもらうかどうかは、そのときの状況で判断しよう。』でした。
 また、『明るくなったら気分も変わるはずだ。』です。
 

 俵山温泉エイド
 走行距離 =  67.1km 
 残り距離 = 184.0km 
 予定通過時刻 = 03:00
 実通過時刻  = 04:25 
 エイドでは、コーラをいただきました。 
 また、足の指や膝に痛みが生じ、ここで痛み止めを服用しました。
 次の新大坊エイドまでは、12.7kmです。
 3.5km先の砂利ヶ峠までは、我慢の上りです。
 その後は、日本海に向けて基本的にず〜っと下り道です。

 俵山温泉エイドからの出だしの道は、よく間違えるとの話があったので、地図ロイドと白線に注意しながら進みました。
 砂利ヶ峠の登りは結構ありましたが、トレランポールを利用し、早歩きのスピードで、ずんずん登っていったように思います。
 暫く、我慢の登りが続きましたが、程なく急峻な下りとなりました。登りの歩きのペースを取り戻すかのように、やはり下りは駆け下っていました。しかし、その下りの長さには閉口しました。
 しかし、痛み止めも効き出し、結構平気で駆け下っていたように思います。また、砂利ヶ峠を越えた頃には、夜も白々と明けだし、そのうちすっかり明るくなりました。
 この区間では、かなり多くのランナーを抜かしたように思いますし、前後の識別できる位置にランナーを確認できていました。

 新大坊エイド
 走行距離 = 79.8km 
 残り距離 = 171.3km 
 予定通過時刻 = 04:40
 実通過時刻  = 06:22
 エイドでは、バナナをいただきました。 
 空がすっかり明るくなってきました。しかし、雨風が時折強くなっていました。


 旧油谷中学校跡までは、7.3kmです。
 予定より、1時間40分遅れており、旧油谷中学校跡の関門は8:30ですので、残り2時間でたどり着く必要があります。 
 また、旧油谷中学校跡の関門をクリアしても、そこから20.7km先の川尻岬・沖田食堂の関門が12:30が待っています。ですから、少しでも早く旧油谷中学校跡に到着したいものだと考えていましたし、到着時刻が遅くなるようであるならリタイアもあり得ると思っていました。
 またこの後、小刻みなアップダウンが続き始めます。特に油谷湾に入ってからは平地は皆無状態でした。
 さらに海沿いの道を通るため、風雨の激しさが増してきました。
 旧油谷中学校跡と海湧食堂は、200mしか離れておらず、関門をクリアするために先に旧油谷中学校跡でCP02と記帳を済ませた後、海湧食堂に行くことが許されていました。
 そこで、まず旧油谷中学校跡でCP02と記帳を済ませ、預けておいた荷物から栄養ドリンクを取り出して飲みました。また、豊田湖畔エイドで脱いだタイツとTシャツを荷物に戻し、GPSの電池を交換しました。着替えは特にしませんでした。
 外を見ると選手収容バスが到着していました。何人かの選手が乗っていました。思いを断ち切るように、まずは海湧食堂に行って朝食を摂ることにしました。

 海湧食堂
 走行距離 =  86.9km 
 残り距離 = 164.2km 
 予定通過時刻 = 05:40
 実通過時刻  = 07:52
 予定より、2時間12分遅れです。次の関門まで4時間38分です。
 食事は、おいしい牛丼 をいただきました。ただし、完食をすることができませんでした。疲れ果てて、吐き気がするのです。 
 フル2本分を完踏しました。 コース全体の3分の1を消化しました。でもまだ先は遠いのです。


 食堂で、飲料水をボトルに給水しながら、大会を続行するかどうかかなり迷いました。食事ができなくなったら、リタイアは目の前ですから・・・。
 さらに、気持ちを落とし入れたのは、地図ロイドでスマホのGPSを使いすぎ、早々とバッテリー交換が必要になったこと。さらにバッテリー交換したのだが、雨が入ったのかスマホの起動と動作が妙に遅く、今後役に立たなくなる恐れが出てきたことである。
 この後、俵島まで行ったら100km越え、立石観音も見たいし、千畳敷まで行ったら折り返し、昼間の走行だから夜と違って気分も晴れるはず、などと呪文をかけるように自分に言い聞かせ、さらに、有言実行あるのみ。多くの人に、この大会のことを話しているので、この距離でリタイアは、有り得ないでしょう。と否定的な自分に鞭を打ち、雨の中をカッパを着込んで出発することにしました。

 海湧食堂前で、スタッフの方々が『行ってらっしゃい。瑠璃光寺で待ってますよ。』と応援してくださいました。その方は、C70kmにエントリーされており、明日の朝06:00にスタートするとのことでした。
 凄い、自分のスタートまでボランティアをしているのです。なんか、今リタイアしようとしていた自分が恥ずかしくなりましたし、大きな勇気とパワーを分けてもらえたような気分となり、前向きな気持ちが大きくなってきました。ありがとうございました。
 まずは、11.4km先の俵島です。アップダウンの連続です。

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